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JOURNAL

Homelandが考えるスタンダードと信楽の器

By 2024/06/26No Comments

和食、洋食、中華やイタリアン、毎日表情の変わる日本の食卓にそっと寄り添うベーシックな食器を作りたいと思い開発したHomelandの器。その産地は、滋賀県の信楽にあります。

信楽・菱三陶との出会い

「日本六古窯」と呼ばれる日本最古の陶器産地の一つである信楽。長い歴史の中で培われた伝統を大切にしながら、職人の技術と感性によって、美しく使い心地の良い陶器を世に送り出してきた「菱三陶園」。国内外で活躍する星つきレストランのシェフを顧客に持ち、一対一の関係を大切にした器づくりをしています。私たちはそのものづくりに対する姿勢に心を惹かれ、彼らと対話をすることでHomelandの商品を開発しました。

酸化焼成と還元焼成で作られる器

菱三陶園が作り出す陶器の焼き方には、2つの特徴があります。一つは、「酸化焼成」と言われる、窯の中に酸素を十分に送り込みながら焼成する方法。一方、「還元焼成」は、空気の供給を制限する焼成方法を言います。酸素が足りない状態で、いわば窒息状態で燃焼が進行する焼き方です。酸化焼成と還元焼成、それぞれを使い分けることで焼き物の色や質感を変化させています。さらに厳密には、季節、温度や湿度、土の種類、釉薬の中に含まれる成分、焼く温度、焼き方など、いくつものポイントを重ね合わせることによって、目的の色を表現します。職人さんはこの焼き方と釉薬、土の組み合わせが無限に頭の中に入っていて、経験から培われた感覚と技術によって作り上げられているのです。

オリジナルの釉薬から生まれる、仕上がりの違いが個性

Homelandのお皿の中では、斑点柄が還元焼成で作られています。富士山の地層に含まれる火山灰を調合した釉薬を使って焼き上げると斑点柄が出ます。

緋色は元々信楽ではスカーレット色と言って親しまれてきた伝統的な色です。古琵琶湖層と言って、かつて琵琶湖の底だった地層(琵琶湖はなんと数万年かけて北上に動いているそう)の土を、松の葉をくべて焼き上げると、緋色に焼き上がります。これを釉薬で再現したものが現在の緋色で、酸化焼成で作られています。

白色は塩を調合して作った釉薬を使って、酸化焼成で焼き上げたもの。口で息を吹き込むことで霧状に釉薬を噴射させる方法で塗布しています。この技法は江戸時代から続いているのだとか。

Homelandのお皿は、斑点・緋色・白色などと色の種類は分けているものの、仕上がりに同じものは一つとしてありません。もちろん、できるだけ均質に仕上げるよう努力をしてくださっていますが、一つひとつ違った表情だからこそ、自分が使うならこれ、とお気に入りの一枚を選んで楽しんでもらいたいです。

Homelandが考えるスタンダードとは

料理のジャンルに合わせて器を選ぶ楽しみも一つですが、私たちは、これさえあればどんな料理も美味しく見せてくれる、頼りになるお皿を作りたいと考えました。場所や食事を選ばず使ってもらえるよう、フォルムや大きさにこだわっています。フラットな円形やオーバル型のお皿もあれば、高台を設けたご飯茶碗もラインナップ。食卓が平坦ではなく、器によって高低差を出すことも、食事が華やぐひと工夫です。ものが溢れるこの時代に、流行りではなく多くの人に長きに渡って使われ、愛されるものこそ、Homelandが考えるスタンダードなのです。